051424 @Cafe Collection

明日までに書かなければならないと思っていたテキストがあった。ついさっきまで。

とうぜんでありながら、とても残念なことに、それは今書いているこのテキストではない。それでいて、書かねばならないと思っていた方は、まだひとつとして書いていない(ドラフトぐらいはあるのだけど)。そして現時点ですでに、締め切りを伸ばしてもらっている。さて、どうしよう。

そう考えていたところでふと我に返って、メールでのやり取りを見返す。
明日の締め切りについてやり取りはあるものの、「出来上がり次第、お送りいただくので大丈夫です」と書かれている。うん、今回においては素晴らしいことだ。誰ひとりとして急いでいない。ここはひとつ、じっさいに書かれたことを尊重してみよう。ものごとを過剰な深刻さにおいて捉えないこと。それでいて、真剣であること。ときにバンザイ、楽観性。


このひと月ほど、生活の中心にあった大切な仕事 (あたりまえに重要なことなのだけど、これは僕、あるいは僕たちにとって仕事である) がひとつの山を越えて、また別の山へと差し掛かっている。こういった深い潜水のような時間のあとに息つくたび、自分がある出口を通過したようでいて、ほんとうのところは、自分からいろんなものが出ていったのだということを思い知る(山から海へ、ずいぶんといそがしい文章だ。たとえば海底山脈を舞台にしたらいいんだろうかと思ったけれど、その場合、ひと山超えたときには海の底にいることになる。これでは気持ち良く息継ぎができない)。


そう、ほんとうにいろんなものが過ぎ去っていく。いつものことだけど、けっして悲しいことを書いているわけではない。


それで、まずは残されたいろんなもの、その中でも具体的なものを片付ける。なるべく、ひとりで片付ける。模型づくりで散らかした部屋。床の隙間に入り込んだ発砲スチロールの切れ端、木片、不思議な形に切り取られた元A3用紙。ついさっきまでは輝いて見えていたものたちが、一時的に、少しずつその輝きを失っている(そしてまたいつか、輝きはじめる)。

──では、あなたが大学生活で身に着けたことを教えてください──
──はい!発泡スチロールを上手に切られるようになりました!それをノリで付け合わせて、いま・こことはことなる世界を想像できます!──
(尊敬する先輩たちのジョークに加筆・修正)


そう、残されたものについて。たとえば素敵な食卓に残された食器を洗う。名残惜しいが洗った方がいいに決まっている。そして、使った衣服を洗濯して干す。全面的に正しい行いである。車に残された空のペットボトルを捨て、足元の葉っぱを払い出す。そうしない理由がない。
(千葉雅也氏の2024年2月26日のツイートを参照されたい。ちなみに僕はTwitterをやっていない)

そして、この間に足りなくなったもの、足りなかったものを足す。
にんにく、オレンジ・ジュース、自転車のタイヤの空気、猫たちの様子を見に行く時間、テーブル・ナイフ(Wi-Fiとプリンターは保留)。


その先に、また新しいからっぽさが、自分や自分の部屋の内側から立ち上がってくるのがわかる。孔だらけで、不確かさに満ちている。それに伴って、また新しい入口が生じている。そこから別の何かが入ってくる予感がある。孔を、不確かさを制御しようとしなければならない。自分がそうしたいと思う方向を見据えて。少し、遠くを見つめて。

さて、このひと月はありがたいことに、大切なことを深く考える時間をつくることができた(関係者の皆さんに感謝します)。おかげで、それなりに頑張って書いた修論の先に、いくつかの大切なことがリアリティを伴って浮かび上がってきた。

なので、申し訳ないのだけど、過ぎ去ってもらっては困るものがそれなりにある。とどまってもらいたい。風通しの良いところに吊り下げておきたい。
そのためにも大切な絵を描いて、まとまった論考をいくつか書きたい。もちろん、今日はサスペンデッドされたあのテキストも…。

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